しかし、その小僧の眼つきにも、妙に魚の眼を聯想させるところがありましたから、或いは、本当にヒラメのかくし子、……でも、それならば、二人は実に淋しい親子でした。
夜おそく、二階の自分には内緒で、二人でおそばなどを取寄せて無言で食べている事がありました。
ヒラメの家では食事はいつもその小僧がつくり、二階のやっかい者の食事だけは別にお膳に載せて小僧が三度々々二階に持ち運んで来てくれて、ヒラメと小僧は、階段の下のじめじめした四畳半で何やら、カチャカチャ皿小鉢の触れ合う音をさせながら、いそがしげに食事しているのでした。