そうして、訳文の末に訳者としての解説を附して在りますが、曰く、「地震の一篇は尺幅の間に無限の煙波を収めたる千古の傑作なり。
けれども、私は、いま、他に語りたいものを持っているのです。
この第十六巻一冊でも、以上のような、さまざまの傑作あり、宝石箱のようなものであって、まだ読まぬ人は、大急ぎで本屋に駈けつけ買うがよい、一度読んだ人は、二度読むがよい、二度読んだ人は、三度読むがよい、買うのがいやなら、借りるがよい、その第十六巻の中の、「女の決闘」という、わずか十三ページの小品について、私は、これから語ろうと思っているのです。