夫としていた男に別を告げる手紙も無く、子供等に暇乞をする手紙も無かった。
唯一度檻房へ来た事のある牧師に当てて、書き掛けた短い手紙が一通あった。
牧師は誠実に女房の霊を救おうと思って来たのか、物珍らしく思って来て見たのか、それは分からぬが、兎に角一度来たのである。
夫としていた男に別を告げる手紙も無く、子供等に暇乞をする手紙も無かった。
唯一度檻房へ来た事のある牧師に当てて、書き掛けた短い手紙が一通あった。
牧師は誠実に女房の霊を救おうと思って来たのか、物珍らしく思って来て見たのか、それは分からぬが、兎に角一度来たのである。