けれども芸術家は、その批評にも、まるで無関心のように、ぼんやりしていました。
それから、驚くべきことには、実にくだらぬ通俗小説ばかりを書くようになりました。
いちど、いやな恐るべき実体を見てしまった芸術家は、それに拠っていよいよ人生観察も深くなり、その作品も、所謂、底光りして来るようにも思われますが、現実は、必ずしもそうでは無いらしく、かえって、怒りも、憧れも、歓びも失い、どうでもいいという白痴の生きかたを選ぶものらしく、この芸術家も、あれ以来というものは、全く、ふやけた浅墓な通俗小説ばかりを書くようになりました。