男のひとは、妻をいつも思っている事が道徳的だと感ちがいしているのではないでしょうか。
他にすきなひとが出来ても、おのれの妻を忘れないというのは、いい事だ、良心的だ、男はつねにそのようでなければならない、とでも思い込んでいるのではないでしょうか。
そうして、他のひとを愛しはじめると、妻の前で憂鬱な溜息などついて見せて、道徳の煩悶とかをはじめて、おかげで妻のほうも、その夫の陰気くささに感染して、こっちも溜息、もし夫が平気で快活にしていたら、妻だって、地獄の思いをせずにすむのです。
男のひとは、妻をいつも思っている事が道徳的だと感ちがいしているのではないでしょうか。
他にすきなひとが出来ても、おのれの妻を忘れないというのは、いい事だ、良心的だ、男はつねにそのようでなければならない、とでも思い込んでいるのではないでしょうか。
そうして、他のひとを愛しはじめると、妻の前で憂鬱な溜息などついて見せて、道徳の煩悶とかをはじめて、おかげで妻のほうも、その夫の陰気くささに感染して、こっちも溜息、もし夫が平気で快活にしていたら、妻だって、地獄の思いをせずにすむのです。