誰にも知られぬ、このような侘びしいおしゃれは、年一年と工夫に富み、村の小学校を卒業して馬車にゆられ汽車に乗り十里はなれた県庁所在地の小都会へ、中学校の入学試験を受けるために出掛けたときの、そのときの少年の服装は、あわれに珍妙なものでありました。
白いフランネルのシャツは、よっぽど気に入っていたものとみえて、やはり、そのときも着ていました。
しかも、こんどのシャツには蝶々の翅のような大きい襟がついていて、その襟を、夏の開襟シャツの襟を背広の上衣の襟の外側に出してかぶせているのと、そっくり同じ様式で、着物の襟の外側にひっぱり出し、着物の襟に覆いかぶせているのです。