つい昨年の冬、汐田がテツさんを国元へ送りかえした時のことである。
テツさんと汐田とは同じ郷里で幼いときからの仲らしく、私も汐田と高等学校の寮でひとつ室に寝起していた関係から、折にふれてはこの恋愛を物語られた。
テツさんは貧しい育ちの娘であるから、少々内福な汐田の家では二人の結婚は不承知であって、それゆえ汐田は彼の父親と、いくたびとなく烈しい口論をした。
つい昨年の冬、汐田がテツさんを国元へ送りかえした時のことである。
テツさんと汐田とは同じ郷里で幼いときからの仲らしく、私も汐田と高等学校の寮でひとつ室に寝起していた関係から、折にふれてはこの恋愛を物語られた。
テツさんは貧しい育ちの娘であるから、少々内福な汐田の家では二人の結婚は不承知であって、それゆえ汐田は彼の父親と、いくたびとなく烈しい口論をした。