この期間は、私にとっては困難なとしつきであったけれども、汐田にはそんなことがなかったらしく、毎日をのうのうと暮していたようであった。
私の最初間借していた家が大学のじき近くにあったので、汐田は入学当時こそほんの二三回そこへ寄って呉れたが、環境も思想も音を立てつつ離叛して行っている二人には、以前のようなわけへだて無い友情はとても望めなかったのだ。
私のひがみからかも知れないが、あのとき若し、テツさんの上京さえなかったなら、汐田はきっと永久に私から遠のいて了うつもりであったらしい。
この期間は、私にとっては困難なとしつきであったけれども、汐田にはそんなことがなかったらしく、毎日をのうのうと暮していたようであった。
私の最初間借していた家が大学のじき近くにあったので、汐田は入学当時こそほんの二三回そこへ寄って呉れたが、環境も思想も音を立てつつ離叛して行っている二人には、以前のようなわけへだて無い友情はとても望めなかったのだ。
私のひがみからかも知れないが、あのとき若し、テツさんの上京さえなかったなら、汐田はきっと永久に私から遠のいて了うつもりであったらしい。