筆者は、やはり人間は、美しくて、皆に夢中で愛されたら、それに越した事は無いとも思っているのでございますが、でも、以上のように神妙に言い立てなければ、或いは初枝女史の御不興を蒙むるやも計り難いので、おっかな、びっくり、心にも無い悠遠な事どものみを申し述べました。
そもそも初枝女史は、実に筆者の実姉にあたり、かつまた、筆者のフランス語の教師なのでありますから、筆者は、つねにその御識見にそむかざるよう、鞠躬如として、もっぱらお追従に之努めなければなりませぬ。
長幼、序ありとは言いながら、幼者たるもの、また、つらい哉。