喧嘩にはならなかったけれどこのことで次郎兵衛はまたまた男をあげてしまった。
火事のあかりにてらされながら陣州屋をたしなめていたときの次郎兵衛のまっかな両頬には十片あまりの牡丹雪が消えもせずにへばりついていてその有様は神様のように恐ろしかったというのは、その後ながいあいだの火消したちの語り草であった。
その翌る年の二月のよい日に、次郎兵衛は宿場のはずれに新居をかまえた。
喧嘩にはならなかったけれどこのことで次郎兵衛はまたまた男をあげてしまった。
火事のあかりにてらされながら陣州屋をたしなめていたときの次郎兵衛のまっかな両頬には十片あまりの牡丹雪が消えもせずにへばりついていてその有様は神様のように恐ろしかったというのは、その後ながいあいだの火消したちの語り草であった。
その翌る年の二月のよい日に、次郎兵衛は宿場のはずれに新居をかまえた。