火事のあかりにてらされながら陣州屋をたしなめていたときの次郎兵衛のまっかな両頬には十片あまりの牡丹雪が消えもせずにへばりついていてその有様は神様のように恐ろしかったというのは、その後ながいあいだの火消したちの語り草であった。
その翌る年の二月のよい日に、次郎兵衛は宿場のはずれに新居をかまえた。
六畳と四畳半と三畳と三間あるほかに八畳の裏二階がありそこから富士がまっすぐに眺められた。
火事のあかりにてらされながら陣州屋をたしなめていたときの次郎兵衛のまっかな両頬には十片あまりの牡丹雪が消えもせずにへばりついていてその有様は神様のように恐ろしかったというのは、その後ながいあいだの火消したちの語り草であった。
その翌る年の二月のよい日に、次郎兵衛は宿場のはずれに新居をかまえた。
六畳と四畳半と三畳と三間あるほかに八畳の裏二階がありそこから富士がまっすぐに眺められた。