なんぼもうかったかの。
傑作「人間万事嘘は誠」のあらましの内容は、嫌厭先生という年わかい世のすねものが面白おかしく世の中を渡ったことの次第を叙したものであって、たとえば嫌厭先生が花柳の巷に遊ぶにしても或いは役者といつわり或いはお大尽を気取り或いはお忍びの高貴のひとのふりをする。
そのいかさまごとがあまりにも工夫に富みほとんど真に近く芸者末社もそれを疑わず、はては彼自身も疑わず、それは決して夢ではなく現在たしかに、一夜にして百万長者になりまた一朝めざむれば世にかくれなき名優となり面白おかしくその生涯を終るのである。