馬場の足もとに、真赤な麻の葉模様の帯をしめ白い花の簪をつけた菊ちゃんが、お給仕の塗盆を持って丸く蹲って馬場の顔をふり仰いだまま、みじろぎもせずじっとしていた。
馬場の蒼黒い顔には弱い西日がぽっと明るくさしていて、夕靄がもやもや烟ってふたりのからだのまわりを包み、なんだかおかしな、狐狸のにおいのする風景であった。
私が近づいていって、やあ、と馬場に声をかけたら、菊ちゃんが、あ、と小さく叫んで飛びあがり、ふりむいて私に白い歯を見せて挨拶したが、みるみる豊かな頬をあかくした。
馬場の足もとに、真赤な麻の葉模様の帯をしめ白い花の簪をつけた菊ちゃんが、お給仕の塗盆を持って丸く蹲って馬場の顔をふり仰いだまま、みじろぎもせずじっとしていた。
馬場の蒼黒い顔には弱い西日がぽっと明るくさしていて、夕靄がもやもや烟ってふたりのからだのまわりを包み、なんだかおかしな、狐狸のにおいのする風景であった。
私が近づいていって、やあ、と馬場に声をかけたら、菊ちゃんが、あ、と小さく叫んで飛びあがり、ふりむいて私に白い歯を見せて挨拶したが、みるみる豊かな頬をあかくした。