僕は、あんまりもそもそしてゐて、かへつてあなたたちに氣味わるがられてゐやしないかと、心配して、毎晩、あなたがお膳を持つて來て呉れるときだけでも、何か輕い世間話しようと努めて、いろいろ考へるのだが、どうも、考へれば考へるほど話すことがなくなつて、自分ながら呆れて、笑つてしまつたのです、と口ごもりながら辯解した。
娘さんは、すると、落ちついて私の傍に坐つて、あたしも何かお話しようと思ふのですが、お客さんがあんまり默つてゐるので、つい、あたしも考へてしまつて、何も言へなくなります。
考へると話すことなくなつてしまふものですね、と答へた。