それきり話が、また無くなつた。
こまつたね、話がないんだ、と言つて笑ふと、娘さんは、私の窮屈がつてゐるのを察して、男は無口なはうがいい、と言ひ置いてさつさと部屋から出て行つて呉れた。
だんだん茶店の人たちも、あのお客は、ただ口が重いだけで、別段に惡だくみのある者でないといふことが判つた樣子で、お客さんのお嫁さんになるひと仕合せですね、世話が燒けなくて、とをばさんに冗談言はれて、私は苦笑して、やつと打ち解けて來たころには、はや十一月、峠の寒氣、堪へがたくなつた。
それきり話が、また無くなつた。
こまつたね、話がないんだ、と言つて笑ふと、娘さんは、私の窮屈がつてゐるのを察して、男は無口なはうがいい、と言ひ置いてさつさと部屋から出て行つて呉れた。
だんだん茶店の人たちも、あのお客は、ただ口が重いだけで、別段に惡だくみのある者でないといふことが判つた樣子で、お客さんのお嫁さんになるひと仕合せですね、世話が燒けなくて、とをばさんに冗談言はれて、私は苦笑して、やつと打ち解けて來たころには、はや十一月、峠の寒氣、堪へがたくなつた。