大隅君は転々と職を変えた。
ああ、もう東京はいやだ、殺風景すぎる、僕は北京に行きたい、世界で一ばん古い都だ、あの都こそ、僕の性格に適しているのだ、なぜといえば、――と、れいの該博の知識の十分の七くらいを縷々と私に陳述して、そうして間もなく飄然と渡支した。
その頃、内地に於いて、彼と交際を続けていた者は、私と、それから二、三の学友だけで、いずれも大隅君から、彼の理解者として選ばれたこの世で最も気の弱い男たちであった。
大隅君は転々と職を変えた。
ああ、もう東京はいやだ、殺風景すぎる、僕は北京に行きたい、世界で一ばん古い都だ、あの都こそ、僕の性格に適しているのだ、なぜといえば、――と、れいの該博の知識の十分の七くらいを縷々と私に陳述して、そうして間もなく飄然と渡支した。
その頃、内地に於いて、彼と交際を続けていた者は、私と、それから二、三の学友だけで、いずれも大隅君から、彼の理解者として選ばれたこの世で最も気の弱い男たちであった。