と勇み立つ。
さいはひその夜も月が出てゐた。
お旦那は、出陣の武士の如く、眼光炯々、口をへの字型にぎゆつと引き結び、いかにしても今宵は、天晴れの舞ひを一さし舞ひ、その鬼どもを感服せしめ、もし萬一、感服せずば、この鐵扇にて皆殺しにしてやらう、たかが酒くらひの愚かな鬼ども、何程の事があらうや、と鬼に踊りを見せに行くのだか、鬼退治に行くのだか、何が何やら、ひどい意氣込みで鐵扇右手に、肩いからして劍山の奧深く踏み入る。
と勇み立つ。
さいはひその夜も月が出てゐた。
お旦那は、出陣の武士の如く、眼光炯々、口をへの字型にぎゆつと引き結び、いかにしても今宵は、天晴れの舞ひを一さし舞ひ、その鬼どもを感服せしめ、もし萬一、感服せずば、この鐵扇にて皆殺しにしてやらう、たかが酒くらひの愚かな鬼ども、何程の事があらうや、と鬼に踊りを見せに行くのだか、鬼退治に行くのだか、何が何やら、ひどい意氣込みで鐵扇右手に、肩いからして劍山の奧深く踏み入る。