彼は穴の奧で三日間は蟲の息で、生きてゐるのだか死んでゐるのだか、それこそ全く幽明の境をさまよひ、四日目に、猛烈の空腹感に襲はれ、杖をついて穴からよろばひ出て、何やらぶつぶつ言ひながら、かなたこなた食ひ搜して歩いてゐるその姿の氣の毒さと來たら比類が無かつた。
しかし、根が骨太の岩乘なからだであつたから、十日も經たぬうちに全快し、食慾は舊の如く旺盛で、色慾などもちよつと出て來て、よせばよいのに、またもや兎の庵にのこのこ出かける。
「遊びに來ましたよ。
彼は穴の奧で三日間は蟲の息で、生きてゐるのだか死んでゐるのだか、それこそ全く幽明の境をさまよひ、四日目に、猛烈の空腹感に襲はれ、杖をついて穴からよろばひ出て、何やらぶつぶつ言ひながら、かなたこなた食ひ搜して歩いてゐるその姿の氣の毒さと來たら比類が無かつた。
しかし、根が骨太の岩乘なからだであつたから、十日も經たぬうちに全快し、食慾は舊の如く旺盛で、色慾などもちよつと出て來て、よせばよいのに、またもや兎の庵にのこのこ出かける。
「遊びに來ましたよ。