と齒の浮くやうな見え透いたお世辭を言ひ、このやうな器用な働き者を女房にしたら、或ひはおれは、女房の働きに依つて遊んでゐながら贅澤ができるかも知れないなどと、色氣のほかにいまはむらむら慾氣さへ出て來て、いよいよこれは何としてもこの女にくつついて一生はなれぬ事だ、とひそかに覺悟のほぞを固めて、よいしよと泥の舟に乘り、「お前はきつと舟を漕ぐのも上手だらうねえ。
おれだつて、舟の漕ぎ方くらゐ知らないわけでは、まさか、そんな、知らないと云ふわけでは決して無いんだが、けふはひとつ、わが女房のお手並を拜見したい。
いやに言葉遣ひが圖々しくなつて來た。