この年の秋の終り、大竹藪に霰が爽やかな音を立てて走つてゐる朝、庭の土の上に、脚をくじいて仰向にあがいてゐる小雀をお爺さんは見つけ、默つて拾つて、部屋の爐傍に置いて餌を與へ、雀は脚の怪我がなほつても、お爺さんの部屋で遊んで、たまに庭先へ飛び降りてみる事もあるが、またすぐ縁にあがつて來て、お爺さんの投げ與へる餌を啄み、糞をたれると、お婆さんは、
「あれ汚い。
と言つて追ひ、お爺さんは無言で立つて懷紙でその縁側の糞をていねいに拭き取る。
この年の秋の終り、大竹藪に霰が爽やかな音を立てて走つてゐる朝、庭の土の上に、脚をくじいて仰向にあがいてゐる小雀をお爺さんは見つけ、默つて拾つて、部屋の爐傍に置いて餌を與へ、雀は脚の怪我がなほつても、お爺さんの部屋で遊んで、たまに庭先へ飛び降りてみる事もあるが、またすぐ縁にあがつて來て、お爺さんの投げ與へる餌を啄み、糞をたれると、お婆さんは、
「あれ汚い。
と言つて追ひ、お爺さんは無言で立つて懷紙でその縁側の糞をていねいに拭き取る。