「あれ汚い。
と言つて追ひ、お爺さんは無言で立つて懷紙でその縁側の糞をていねいに拭き取る。
日數の經つにつれて雀にも、甘えていい人と、さうでない人との見わけがついて來た樣子で、家にお婆さんひとりしかゐない時には、庭先や軒下に避難し、さうしてお爺さんがあらはれると、すぐ飛んで來て、お爺さんの頭の上にちよんと停つたり、またお爺さんの机の上をはねまはり、硯の水をのどを幽かに鳴らして飮んだり、筆立の中に隱れたり、いろいろに戲れてお爺さんの勉強の邪魔をする。
「あれ汚い。
と言つて追ひ、お爺さんは無言で立つて懷紙でその縁側の糞をていねいに拭き取る。
日數の經つにつれて雀にも、甘えていい人と、さうでない人との見わけがついて來た樣子で、家にお婆さんひとりしかゐない時には、庭先や軒下に避難し、さうしてお爺さんがあらはれると、すぐ飛んで來て、お爺さんの頭の上にちよんと停つたり、またお爺さんの机の上をはねまはり、硯の水をのどを幽かに鳴らして飮んだり、筆立の中に隱れたり、いろいろに戲れてお爺さんの勉強の邪魔をする。