郷土の名を、わが空拳にて日本全國にひろめ、その郷土の榮譽を一身に荷はんとする意氣込みが無ければ、とても自身の生れた所の名を、家の屋號になど、出來るものではありません。
むかし、紀の國屋文左衞門といふ人も、やはり、そのやうな意氣込みを以て、紀の國の名を日本全國に歌はせたが、あの人は、終りがあまり、よくなかつたやうであります。
さいはひ、山崎氏には、淺見、尾崎兩氏の眞の良友あり、兩氏共に高潔俊爽の得難き大人物にして帷幕の陰より機に臨み變に應じて順義妥當の優策を授け、また傍に、宮内、佐伯兩氏の新英惇徳の二人物あり、やさしく彼に助勢してくれてゐる樣でありますから、まづこのぶんでは、以後も不安なかるべしと思ひます。