一昨年の正月も去年の正月も、一日門附けしたあとで松次郎が、酒のきらいな木之助を居酒屋へつれこみ、自分一人で飲んで、ついにはぐでんぐでんに酔ってしまい、三里の夜道を木之助が抱くようにして帰って来たのを木之助は思い出した。
「一人じゃ行けんしなあ」と木之助が思案しながらいうと、松次郎が風呂から出て、「うん。
俺も子供の時分から旧正月といえば、門附けにいっとったで、今更やめたかないが、女房めがああいうし、実は、こないだ子供めが火箸で鼓を叩いているうち破ってしまっただよ。
一昨年の正月も去年の正月も、一日門附けしたあとで松次郎が、酒のきらいな木之助を居酒屋へつれこみ、自分一人で飲んで、ついにはぐでんぐでんに酔ってしまい、三里の夜道を木之助が抱くようにして帰って来たのを木之助は思い出した。
「一人じゃ行けんしなあ」と木之助が思案しながらいうと、松次郎が風呂から出て、「うん。
俺も子供の時分から旧正月といえば、門附けにいっとったで、今更やめたかないが、女房めがああいうし、実は、こないだ子供めが火箸で鼓を叩いているうち破ってしまっただよ。