尠くとも(と木之助はあの金持の味噌屋の主人のことを思った)、あの人は胡弓の音がどんなものかを知っている。
翌朝木之助は早朝に起き、使いなれた胡弓を持って家を出た。
道や枯草、藁積などには白く霜が降り、金色にさしてくる太陽の光が、よい一日を約束していたが、二十年も正月といえば欠かさず一緒に出かけた松次郎が、もうついてはいないことは一抹の寂しさを木之助の心に曳いた。
尠くとも(と木之助はあの金持の味噌屋の主人のことを思った)、あの人は胡弓の音がどんなものかを知っている。
翌朝木之助は早朝に起き、使いなれた胡弓を持って家を出た。
道や枯草、藁積などには白く霜が降り、金色にさしてくる太陽の光が、よい一日を約束していたが、二十年も正月といえば欠かさず一緒に出かけた松次郎が、もうついてはいないことは一抹の寂しさを木之助の心に曳いた。