右足の親指を痛めただけで胡弓をぶち折らなかったのはまだしも仕合わせというべきだった。
門を出ると、一人の風呂敷包みを持った五十位の女が、雪駄の歯につまった雪を、門柱の土台石にぶつけて、はずしていた。
木之助を見ると女の人は、おや、と懐しそうにいった。
右足の親指を痛めただけで胡弓をぶち折らなかったのはまだしも仕合わせというべきだった。
門を出ると、一人の風呂敷包みを持った五十位の女が、雪駄の歯につまった雪を、門柱の土台石にぶつけて、はずしていた。
木之助を見ると女の人は、おや、と懐しそうにいった。