――これでばちがあたらぬとはどうしたことだらう……。
和尚さんの太いくびと、あぶら汗でてかてか光る顔を見ながら、この人は運が強いのだ、あんな悪いことをして、人人の前ではこんなしらじらしい嘘をいつて、それでゐながら、すこしもばちがあたらないのだ、だが、わしにだけばちがあたつてこの人には何のとがめもないといふのは、天が不公平だ、天のなさり方が片手落ちだ、と菊次さんは考へたのでありました。
もうその先きく気がなくなつたので、菊次さんは杖をひいて家に帰りました。
――これでばちがあたらぬとはどうしたことだらう……。
和尚さんの太いくびと、あぶら汗でてかてか光る顔を見ながら、この人は運が強いのだ、あんな悪いことをして、人人の前ではこんなしらじらしい嘘をいつて、それでゐながら、すこしもばちがあたらないのだ、だが、わしにだけばちがあたつてこの人には何のとがめもないといふのは、天が不公平だ、天のなさり方が片手落ちだ、と菊次さんは考へたのでありました。
もうその先きく気がなくなつたので、菊次さんは杖をひいて家に帰りました。