栄蔵は、泣き出してしまはうかしらん、と思つて、ふつと息を吸ひこんだが、その時急に或事を憶ひ出したので、泣出すのをやめた。
それは、いつかお父さんについて蔵にはいつたとき、二階の窓際に本箱があつて、中には本がぎつしり詰つてゐたのを、見たことであつた。
幸ひ、眼が闇に馴れて来た。
栄蔵は、泣き出してしまはうかしらん、と思つて、ふつと息を吸ひこんだが、その時急に或事を憶ひ出したので、泣出すのをやめた。
それは、いつかお父さんについて蔵にはいつたとき、二階の窓際に本箱があつて、中には本がぎつしり詰つてゐたのを、見たことであつた。
幸ひ、眼が闇に馴れて来た。