何故ならお坊さんのお話といふのは、この世で嘘をいふと、あの世で閻魔さんに、舌べろを釘抜でひつこぬかれるとか、この世で猫や犬や、鳥なんかを殺すと、あの世で血の池地獄におとされて、苦しめられるといふやうな、夜一人で憶ひ出すと便所にゆくのが嫌になる話が多かつたからである。
しかし、話なんか聞きたくありませんといふと、いかにもお饅頭がほしさに、お掃除の手伝ひをしたやうに思はれて癪だから、二人は、大公孫樹の根方に腰をおろして足をふみはだかつたお坊さんの前に、面白くないやうな顔をして突つ立つてゐた。
秋の陽ざしは温かく和んで、あちらの汲みたての水盤に水を飲みに来る蜂が、金色の糸をひいたやうに光つた。