栄蔵はのちのちまで、海べの岩蔭に、家の者が探しに来るのを、待つてゐたときの心持をよく覚えてゐた。
そして或日ふつとまたその事を憶ひ出して、つくづく自分の心を、あさましく思つたのは、栄蔵がもう青年になりかけた頃であつた。
その時栄蔵は、自分の心の中は、悪いものがはいつてゐることを判然知つた。
栄蔵はのちのちまで、海べの岩蔭に、家の者が探しに来るのを、待つてゐたときの心持をよく覚えてゐた。
そして或日ふつとまたその事を憶ひ出して、つくづく自分の心を、あさましく思つたのは、栄蔵がもう青年になりかけた頃であつた。
その時栄蔵は、自分の心の中は、悪いものがはいつてゐることを判然知つた。