また門を閉めにいつて、門の外でぼんやり自分の家の方を見てゐることもあつた。
誰かが来やしないか――弟の左衛門か、それとも懐しいお母さんが来てくれはしないかと、知らずに期待してゐるからであつた。
修業のために親も兄弟も捨てて来たものが、こんなことでは駄目ではないかと、よく自分を叱つたが、いくら叱つても、時々夕暮になると、心が落着かなかつた。
また門を閉めにいつて、門の外でぼんやり自分の家の方を見てゐることもあつた。
誰かが来やしないか――弟の左衛門か、それとも懐しいお母さんが来てくれはしないかと、知らずに期待してゐるからであつた。
修業のために親も兄弟も捨てて来たものが、こんなことでは駄目ではないかと、よく自分を叱つたが、いくら叱つても、時々夕暮になると、心が落着かなかつた。