さうして走つてゐると彼は何となく胸のときめくのを禁じえない。
戀といふ程のことをした經驗のない彼には、この町のどこにもそれとなく見て別れを告げねばならぬやうな少女はゐないのであるが、通りのずつと向うの方に、まだ顏は見えぬけれど着物の色彩で少女と知れる姿が現はれると、自分の愛人ではないかと思つて見たりするのである。
そして金太郎は、更めて自分が專門學校生徒である誇りにうつとりする。
さうして走つてゐると彼は何となく胸のときめくのを禁じえない。
戀といふ程のことをした經驗のない彼には、この町のどこにもそれとなく見て別れを告げねばならぬやうな少女はゐないのであるが、通りのずつと向うの方に、まだ顏は見えぬけれど着物の色彩で少女と知れる姿が現はれると、自分の愛人ではないかと思つて見たりするのである。
そして金太郎は、更めて自分が專門學校生徒である誇りにうつとりする。