ふいをくった少佐は、しばらくあなのそこでぼんやりしていましたが、あたりのやみに目もなれ、気もおちついてくると、あなの中のようすがうすうすわかってきました。
それは四メートル以上の深さで、そこのほうがひろがっている、水のかれた古井戸だったのです。
少佐は、声を出して歩哨をよぼうとしましたが、まてまて、深い井戸の中のことだから、歩哨のいるところまで、声がとおるかどうかわからない、それに、もし、ロシアの斥候にききつけられたら、むざむざところされるにきまっている、と思いかえし、そのまま、だまってこしをおろしました。