座には高名な抒情の小説をものされる人が居あわせ、先生のその紹介も実はその小説家に向いてであったのだが、私はそれを盗んだ。
夜に入って、それがその年の夏のおわりの一夜となったのだが、私は先生の書斎じゅうにせいいっぱいの魂を傾けつくしてうたい上げる草ひばりの唄を聞いた。
私のもっとも潤沢のこの一刻に、私は、忘れていた春蝉のことを思い出し、この虫とあれと考え比べた。
座には高名な抒情の小説をものされる人が居あわせ、先生のその紹介も実はその小説家に向いてであったのだが、私はそれを盗んだ。
夜に入って、それがその年の夏のおわりの一夜となったのだが、私は先生の書斎じゅうにせいいっぱいの魂を傾けつくしてうたい上げる草ひばりの唄を聞いた。
私のもっとも潤沢のこの一刻に、私は、忘れていた春蝉のことを思い出し、この虫とあれと考え比べた。