そのたびに、僕は、ありもしなかつた僕の昔の戀人はみづひきといふ秋の花を愛したと言つたり、幼い日、そのひとと夏の夜に線香花火を焚いたときそのひとの膝のすこし上に小さな傷痕を見つけたと語つた。
そのやうないつはりの戀の思ひ出が種ぎれになつたときはいつも、僕は、架空のゴンゴンや夜に就いての童話を語らねばならなかつた。
なぜそうなつたかは、わからないのだ。
そのたびに、僕は、ありもしなかつた僕の昔の戀人はみづひきといふ秋の花を愛したと言つたり、幼い日、そのひとと夏の夜に線香花火を焚いたときそのひとの膝のすこし上に小さな傷痕を見つけたと語つた。
そのやうないつはりの戀の思ひ出が種ぎれになつたときはいつも、僕は、架空のゴンゴンや夜に就いての童話を語らねばならなかつた。
なぜそうなつたかは、わからないのだ。