昨夜は いちばんかすかな豆ランプをともして その下で繪のついた本をひらいて居ました 一匹の蜂が花の蕋ふかく入つたところその花がいつの間にか消えてしまつたので その愚かな蜂は不思議だと思ひながらも自分まで一しよに消えていつたと その頁には書いてありました
星や月のあかるい夜道で一册の本を拾つた人が 家に歸るまでに中に書かれたことを落してしまひました それであくる朝早く行つてみたら 道ばたの草のなかでは女王やポリチネルや行列が牝羊だの孔雀だのと一しよになつてきれいな空氣のなかでさはいでをりました
一生かかつて語りあつても不思議な夜のたくらんだ手品の種はわかりませんでした