それから俄かにお母さんの牛乳のことを思ひだしてジヨバンニはその店をはなれました。
そしてきゆうくつな上着の肩を氣にしながら、それでもわざと胸を張り、大きく手を振つて町を通つて行きました。
空氣は澄みきつて、まるで水のやうに通りや店の中を流れましたし、街燈はみなまつ青なもみや楢の枝で包まれ、電氣會社の前の六本のプラタナスの木などは、中に澤山の豆電燈がついて、ほんたうにそこらは人魚の都のやうに見えるのでした。
それから俄かにお母さんの牛乳のことを思ひだしてジヨバンニはその店をはなれました。
そしてきゆうくつな上着の肩を氣にしながら、それでもわざと胸を張り、大きく手を振つて町を通つて行きました。
空氣は澄みきつて、まるで水のやうに通りや店の中を流れましたし、街燈はみなまつ青なもみや楢の枝で包まれ、電氣會社の前の六本のプラタナスの木などは、中に澤山の豆電燈がついて、ほんたうにそこらは人魚の都のやうに見えるのでした。