そして島と十字架とは、だんだんうしろの方へうつつて行きました。
向う岸も、青じろくぽうつと光つてけむり、時々、やつぱりすすきが風にひるがへるらしく、さつとその銀いろがけむつて、息でもかけたやうに見え、また、たくさんのりんだうの花が、草をかくれたり出たりするのは、やさしい狐火のやうに思はれました。
それもほんのちよつとの間、川と汽車との間は、すすきの列でさへぎられ、白鳥の島は、二度ばかりうしろの方に見えましたが、ぢきもうずうつと遠く小さく繪のやうになつてしまひ、またすすきがざわざわ鳴つて、とうとうすつかり見えなくなつてしまひました。