鷺をつかまへて、せいせいしたとよろこんだり、白いきれでそれをくるくる包んだり、ひとの切符をびつくりしたやうに横目で見て、あわててほめだしたり、そんなことを一々考へてゐると、もうその見ず知らずの鳥捕りのために、ジヨバンニの持つてゐるものでも食べるものでもなんでもやつてしまひたい、もうこの人のほんたうの幸になるなら、自分があの光る天の川の河原に立つて、百年つづけて立つて鳥をとつてやつてもいいといふやうな氣がして、どうしてももう默つてゐられなくなりました。
ほんたうにあなたのほしいものは一體なんですか、と訊かうとして、それではあんまり出し拔けだから、どうせうかと考へて振り返つて見ましたら、そこにはもうあの鳥捕りが居ませんでした。
網棚の上には白い荷物も見えなかつたのです。