これは猫仲間では、目上の人にも無礼なことでも何でもなく、人ならばまづ鬚でもひねるぐらゐのところですから、それはかまひませんけれども、いけないことは、足をふんばつたために、テーブルが少し坂になつて、べんたうばこがするするつと滑つて、たうとうがたつと事務長の前の床に落ちてしまつたのです。
それはでこぼこではありましたが、アルミニユームでできてゐましたから、大丈夫こはれませんでした。
そこで虎猫は急いであくびを切り上げて、机の上から手をのばして、それを取らうとしましたが、やつと手がかかるかかからないか位なので、べんたうばこは、あつちへ行つたりこつちへ寄つたり、なかなかうまくつかまりませんでした。