小十郎はなぜかもう胸がいっぱいになってもう一ぺん向うの谷の白い雪のような花と余念なく月光をあびて立っている母子の熊をちらっと見てそれから音をたてないようにこっそりこっそり戻りはじめた。
風があっちへ行くな行くなと思いながらそろそろと小十郎は後退りした。
くろもじの木の匂が月のあかりといっしょにすうっとさした。
小十郎はなぜかもう胸がいっぱいになってもう一ぺん向うの谷の白い雪のような花と余念なく月光をあびて立っている母子の熊をちらっと見てそれから音をたてないようにこっそりこっそり戻りはじめた。
風があっちへ行くな行くなと思いながらそろそろと小十郎は後退りした。
くろもじの木の匂が月のあかりといっしょにすうっとさした。