雲がいよいよ近くなり、捨身菩薩のおからだは、十丈ばかりに見えそのかがやく左手がこっちへ招くように伸びたと思うと、俄に何とも云えないいいかおりがそこらいちめんにして、もうその紫の雲も疾翔大力の姿も見えませんでした。
ただその澄み切った桔梗いろの空にさっきの黄金いろの二十六夜のお月さまが、しずかにかかっているばかりでした。
「おや、穂吉さん、息つかなくなったよ。
雲がいよいよ近くなり、捨身菩薩のおからだは、十丈ばかりに見えそのかがやく左手がこっちへ招くように伸びたと思うと、俄に何とも云えないいいかおりがそこらいちめんにして、もうその紫の雲も疾翔大力の姿も見えませんでした。
ただその澄み切った桔梗いろの空にさっきの黄金いろの二十六夜のお月さまが、しずかにかかっているばかりでした。
「おや、穂吉さん、息つかなくなったよ。