今まで歩いたところには、一とこだって流れも泉もありませんでしたが、もしかも少し向うへ行ったら、とにかく小さな流れにでもぶっつかるかも知れないと考えて、私は背嚢の中に火山弾を入れて、面倒くさいのでかけ金もかけず、締革をぶらさげたまませなかにしょい、パンの袋だけ手にもって、又ぶらぶらと向うへ歩いて行きました。
何べんもばらがかきねのようになった所を抜けたり、すすきが栽え込みのように見える間を通ったりして、私は歩きつづけましたが、野原はやっぱり今まで通り、小流れなどはなかったのです。
もう仕方ない、この辺でパンをたべてしまおうと立ちどまったとき、私はずうっと向うの方で、ベルの鳴る音を聞きました。