キッコはまるで有頂天になって誰がどこで何をしているか先生がいま何を云っているかもまるっきりわからないという風でした。
その日キッコが学校から帰ってからのはしゃぎようと云ったら第一におっかさんの前で十けたばかりの掛算と割算をすらすらやって見せてよろこばせそれから弟をひっぱり出して猫の顔を写生したり荒木又右エ門の仇討のとこを描いて見せたりそしておしまいもうお話を自分でどんどんこさえながらずんずんそれを絵にして書いていきました。
その絵がまるでほんもののようでしたからキッコの弟のよろこびようと云ったらありませんでした。