霧のあるときは谷の底はまっ白でなんにも見えませんでした。
私がはじめてそこへ行ったのはたしか尋常三年生か四年生のころです。
ずうっと下の方の野原でたった一人野葡萄を喰べていましたら馬番の理助が欝金の切れを首に巻いて木炭の空俵をしょって大股に通りかかったのでした。
霧のあるときは谷の底はまっ白でなんにも見えませんでした。
私がはじめてそこへ行ったのはたしか尋常三年生か四年生のころです。
ずうっと下の方の野原でたった一人野葡萄を喰べていましたら馬番の理助が欝金の切れを首に巻いて木炭の空俵をしょって大股に通りかかったのでした。