障子をあけたら、庭は一面の草原で、夏の夜の月明かなるに、眼を走しらせると、垣も塀もあらばこそ、まともに大きな草山に続いている。
草山の向うはすぐ大海原でどどんどどんと大きな濤が人の世を威嚇しに来る。
余はとうとう夜の明けるまで一睡もせずに、怪し気な蚊帳のうちに辛防しながら、まるで草双紙にでもありそうな事だと考えた。
障子をあけたら、庭は一面の草原で、夏の夜の月明かなるに、眼を走しらせると、垣も塀もあらばこそ、まともに大きな草山に続いている。
草山の向うはすぐ大海原でどどんどどんと大きな濤が人の世を威嚇しに来る。
余はとうとう夜の明けるまで一睡もせずに、怪し気な蚊帳のうちに辛防しながら、まるで草双紙にでもありそうな事だと考えた。