今までは床の中に我慢して聞いていたが、聞く声の遠ざかるに連れて、わが耳は、釣り出さるると知りつつも、その声を追いかけたくなる。
細くなればなるほど、耳だけになっても、あとを慕って飛んで行きたい気がする。
もうどう焦慮ても鼓膜に応えはあるまいと思う一刹那の前、余はたまらなくなって、われ知らず布団をすり抜けると共にさらりと障子を開けた。
今までは床の中に我慢して聞いていたが、聞く声の遠ざかるに連れて、わが耳は、釣り出さるると知りつつも、その声を追いかけたくなる。
細くなればなるほど、耳だけになっても、あとを慕って飛んで行きたい気がする。
もうどう焦慮ても鼓膜に応えはあるまいと思う一刹那の前、余はたまらなくなって、われ知らず布団をすり抜けると共にさらりと障子を開けた。