夏目漱石 『草枕』 あの声はと、耳の走る見当を見破ると――向うにいた。 花ならば海棠かと思わるる幹を背に、よそよそしくも月の光りを忍んで朦朧たる影法師がいた。 あれかと思う意識さえ、確とは心にうつらぬ間に、黒いものは花の影を踏み砕いて右へ切れた。 夏目漱石の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア