世には有りもせぬ失恋を製造して、自から強いて煩悶して、愉快を貪ぼるものがある。
常人はこれを評して愚だと云う、気違だと云う。
しかし自から不幸の輪廓を描いて好んでその中に起臥するのは、自から烏有の山水を刻画して壺中の天地に歓喜すると、その芸術的の立脚地を得たる点において全く等しいと云わねばならぬ。
世には有りもせぬ失恋を製造して、自から強いて煩悶して、愉快を貪ぼるものがある。
常人はこれを評して愚だと云う、気違だと云う。
しかし自から不幸の輪廓を描いて好んでその中に起臥するのは、自から烏有の山水を刻画して壺中の天地に歓喜すると、その芸術的の立脚地を得たる点において全く等しいと云わねばならぬ。