殊に日本はごくごくこの間、三、四千年前までは、全く人が居なかったと云いますから、もちろん誰もそれを見てはいなかったでしょう。
その誰も見ていない昔の空がやっぱり繰り返し繰り返し曇ったりまた晴れたり、海の一とこがだんだん浅くなってとうとう水の上に顔を出し、そこに草や木が茂り、ことにも胡桃の木が葉をひらひらさせ、ひのきやいちいがまっ黒にしげり、しげったかと思うと忽ち西の方の火山が赤黒い舌を吐き、軽石の火山礫は空もまっくらになるほど降って来て、木は圧し潰され、埋められ、まもなくまた水が被さって粘土がその上につもり、全くまっくらな処に埋められたのでしょう。
考えても変な気がします。