その時、あの下流の赤い旗の立っているところに、いつも腕に赤いきれを巻きつけて、はだかに半天だけ一枚着てみんなの泳ぐのを見ている三十ばかりの男が、一梃の鉄梃をもって下流の方から溯って来るのを見ました。
その人は、町から、水泳で子供らの溺れるのを助けるために雇われて来ているのでしたが、何ぶんひまに見えたのです。
今日だって実際ひまなもんだから、ああやって用もない鉄梃なんかかついで、動かさなくてもいい途方もない大きな石を動かそうとしてみたり、丁度私どもが遊びにしている発電所のまねなどを、鉄梃まで使って本統にごつごつ岩を掘って、浮岩の層のたまり水を干そうとしたりしているのだと思うと、私どもは実は少しおかしくなったのでした。